【自作PC】初心者でも分かる、自作PC DDR4メモリーの選び方

PCを自作したいけれど、メモリの選び方が分からないという人向けに、DDR4メモリーの選び方を書きました。
一応、玄人が読んでも楽しめる記事に仕上がったかなと思います(マニアックなこと書きすぎたとも言う)。
質問などあれば、記事に関係のないことでも気軽に書き込んで頂けるとありがたいです。

モリーの基礎知識

まずメモリーを選ぶ上で押さえておきたい基礎知識から紹介します。

必要なメモリー容量

最近はChromeなどメモリーを大量に食って高速化しているソフトウェアも有るため、自作するなら8GBが最低、16GBが推奨だと思っています。
余程明確な目的が無ければ、32GB以上必要ありません。

モリー速度の基礎的な情報

殆どの場合容量の方が重要ですが、速度にこだわってメモリーを選ぶ上で重要な3つのスペックは、動作周波数・レイテンシ・動作電圧です。
基本的に、動作周波数が高く、レイテンシが低いものが有利とされます。
レイテンシは、キャスレイテンシ(CL)や、タイミングなど別の呼び方もあります。

www.ark-pc.co.jp
例えば上のページでは、以下のような記載があります。

XMP2.0: DDR4-3200 CL15-15-15-35 1.35Volt / SPD: DDR4-2133 CL15-15-15-36 1.20Volt

この記載からは、以下のことが読み取れます。

  • XMPに対応している
  • 動作周波数3200MHz レイテンシ15-15-15-35 動作電圧1.35V
  • 動作周波数2133MHz レイテンシ15-15-15-36 動作電圧1.20V

XMPと、動作周波数などの情報が複数記載されている点は後述します。

XMP

XMPとは、メモリーの動作速度に関する規格です。
モリーのOCは、最近ではメモリの持つXMPのプロファイル情報をマザーボードに読み込ませるというやり方が一般的になっています。
先ほど、動作周波数などの情報が複数記載されていたのは、メモリーがこのプロファイル情報を複数持っているということを表しています。
最近ではどのマザーボード/メモリーXMPに対応しているものがほとんどなので、マザーボードXMPに対応しているかどうかを確認する必要は特に無いです。
また、基本的なDDR4メモリーはDDR4 2133のプロファイルを持っており、マザーボードはDDR4 2133に対応しているので、どの組み合わせでも全く動作しないということはありません。

プロファイルについて

DDR4メモリーには複数のプロファイルを持つものがありますが、注意したいことは、高い周波数に対するプロファイルを持っている製品だからと言って、2133との間のプロファイルを持っているとは限らない点です。
例えば、DDR4 2666対応のメモリーだからといって、2400のプロファイルを持っているとは限りません。
これが問題になるのは、IntelのH270など、OCには対応していないが、XMPには対応しているというマザーボードを買う時です。
2666や、それを越える高周波数のメモリーを買っても、プロファイルが無いせいで2133でしか動かせないということになります。
一応、そのようなマザーボード向けの高性能メモリーというものもあります(後述)。

ヒートシンクの必要性

ヒートシンクがあるメモリーの方がいいのか、という話は耳にします。
個人的な意見としては、「無くてもいいけどあった方がカッコいい」です。
また、メモリークーラーやトップフロークーラーを用いる場合には、ヒートシンクがあった方が当然冷えやすいです。

マザーボードとの相性

相性問題という話は割と有名ですが、全く動作しないというような場合は減っています。
最近のメモリ・マザーボードの相性問題は、XMPのプロファイルを読み込んだ際に起動できなかったり、額面通りのスペックで動作させられないような状況を指す場合が多いです。
これは特に3000MHzを越えるような高速・低レイテンシ・高電圧なメモリーを、4枚以上差したような場面で発生しやすいです。
解決策としては、メモリーを買い直すか、レイテンシ・周波数の設定を緩めるなどがあります。
ただし、メモリーの相性問題は、マザーボードBIOSの更新によって改善する場合が多くあります。

相性問題への対策

少し本題から外れますが、相性問題を嫌うなら、以下のような対策があります。

  • マザーボードのQVLに記載されたメモリを選ぶ
  • メモリの枚数をできるだけ減らす
  • セットで動作確認が済んでいるメモリーを選ぶ
  • 発売から時間の経った(=BIOSが成熟した)マザーボードを選ぶ

最後の対策に関しては、新しさとの兼ね合いもありますが、基本的に発売から半年位が価格・性能などの点で買い時かなと、個人的に思っています。

モリーの選び方

ここまでで紹介した知識があれば、一通りのメモリーを選ぶことができます。
性能を重視しないなら、規格に関係なく安めのメモリーを買い、DDR4 2133で動かすのが良いでしょう。
記事の執筆時点では、DDR4メモリーはCorsairのDDR4 2666メモリーが安いらしく、選ぶ人が多い印象があります。
性能を求めるなら、予算内で、QVLに載っていて、できる限り高周波数低レイテンシなメモリーを選ぶ、です。
もちろん、見栄えを気にするなら、ヒートシンクの形やLEDなんかにも注目です。
この基本はほぼ変わりません。
ここから書くのは、もう一歩踏み込んだ内容です。

プラットフォームに最適化された製品

DDR4メモリーの中には、特定のプラットフォームに最適化された製品があります。
例えば、G.SkillやGeILといったメーカーは、最近話題のRyzen向けに最適化したメモリーを発売しています。
www.ark-pc.co.jp
http://www.geil.com.tw/news/show/id/120www.geil.com.tw

Intelでは

特にX99やX299のような環境Intelのプラットフォームについてもメモリーの相性があるようで、踏み込むならプラットフォームに合わせたメモリーを選んだ方が良いようです。
ただし、Intelアーキテクチャとメモリーの話は、前述の通りガッチガチに調整された高周波数・低レイテンシなメモリーを多く差して完璧に動作させたい、という時に必要な話で、そうでもない場合には特に意識する必要は無いでしょう。
少なくとも、まず参考にすべきなのはマザーボードのQVLです。

レイテンシの違い

モリーの中には、同一メーカー・同一ヒートシンクでレイテンシの違う製品があります。
例えば、以下の2つです。
www.ark-pc.co.jp
www.ark-pc.co.jp
これらを取り違えてしまうと、少しとはいえ違った製品を購入することになるので、こだわる際には注意が必要でしょう。
モリーの型番には、基本的に末尾にCXXやCLXX(XXはレイテンシ)と付くので、型番を読むことで、レイテンシの違いを見分けることもできます。

「安く」買いたい

モリーは、枚数が少ない方が容量単価が低い傾向があり、同じ16GBでも、4GBx4枚より8GBx2枚の方が安い場合が多いです。
これ以外には、保証やサポートなど、リスクに対する部分でしょうか。
例えばG.Skillでは、BIOSからマニュアル/XMPでメモリOCをして、結果メモリーが故障したとしても、無期限に新品と交換という保証があります。
www.mustardseed.co.jp
転んだ先の杖ということで、多少は保証も気にしてもいいかもしれません。
また、メモリーのセットでの買い方として、2枚セットを2つ買うという買い方を聞いたこともあります。
これはメモリーが故障した際に、4枚セットで買っていると、規約の問題で4枚全てを修理に送る必要が有り、PCを使えない時間が出るため、その対策ということでした。
個人的には、メモリーの故障のリスクはそこまで高くなく、できる限りセットで購入した方が、テスト済みであることから上手く動く確率が高いため、できるだけ纏めて買った方が良いと考えています。

CPUクーラーとの干渉

特に大型のCPUクーラーや、メモリーに覆いかぶさる大きさのトップフロークーラーは、背の高いメモリーと干渉する場合があります。
まずはCPUクーラーの許容メモリ高と、メモリーヒートシンクの高さを調べた方が良いでしょう。
モリーヒートシンク高に関しては、自分がまとめた記事がありますので、良ければ参考にどうぞ。
wrongwrong163377.hatenablog.com

どうやって探すか

モリーを探す際に落とし穴になりがちなのは、価格.comのようなサイトでは、掲載されているメモリーの種類が少なかったり、レイテンシといった情報が深く書かれていないため、ベストなメモリーを探しにくかったりする点です。
自分は、メモリーを探す場合には、掲載情報の多さや良質さから、PC Shop Arkと、OverClockWorksという2つの通販サイトをお勧めします。
www.ark-pc.co.jp
www.ocworks.com
まずはこれらのサイトで購入したいメモリーを決定し、その上で自分の好みの店で買うと良いでしょう。

もっと踏み込んだ話

ここからは、更に具体的で踏み込んだ話として、特徴のある面白い製品を紹介していきます。

最速のメモリーメーカー

自分が知る限り、XMPの設定で最速のメモリーを作っているメーカーを紹介します。
もちろん、ここに紹介したメーカー以外にも、魅力的な製品を作っているメーカーは沢山あります。

Corsair

DDR4 2133, DDR4 2400のメモリーでは、後述の低周波数・超低レイテンシメモリーを提供しているメーカーです。
特にDDR4 2400C10を見た時には何かの間違いじゃないかと思いました。
デザインを意識した製品や、価格の安い製品などもあり、ファンの多いメーカーです。
個人的には特にDDR4 2800以下のメモリーで強い印象があります。

G.Skill

DDR4 3000を越える周波数のメモリーとしては、最速のメモリーを提供しているメーカーです。
前述の通り、OCに関する保証などもあり、非常に完成度の高い高周波数・低レイテンシメモリーを生産しています。
個人的なオススメは、DDR4 3200C14と、DDR4 3600C15ですね。

LED付きの製品

モリーの中には、LEDを搭載した、光るメモリーがあります。
更にその中には、温度によって点滅速度が変わったり、RGB LEDを搭載し、マザーボードなどと合わせてライティングに対応したモデルもあります。
先程も紹介した記事ですが、こちらにはLEDの有無も記載しています。
wrongwrong163377.hatenablog.com

GeIL SuperLuceシリーズ

www.ark-pc.co.jp
GeIL SuperLuceシリーズは、温度によって点滅速度が変わるメモリーです。
ただ差すだけで温度によって点滅が変わる様子を楽しむことができるのが魅力です。

RGB LEDに対応した製品

wrongwrong163377.hatenablog.com
RGB LEDに対応した製品に関しては、こちらの記事をどうぞ。
2017/7/2現在情報のあるRGB LEDに対応したメモリーを全て記載しています。
現状ではマザーボードメーカー各社で制御できるメモリーが違っていて、消費者としては面倒くさい状況になっていますが、それでもPC全体でライティング制御している様子はとてもカッコいいです。
温度情報に合わせたライティングも可能なようなので、実用面でもメリットがあります。

OC非対応マザー向け高性能メモリー

IntelのH270やB250などのマザーボードでは、最大メモリー周波数などのスペックに制限があり、高周波数なメモリーは使えない状況があります。
しかし、そのような環境向けに、低周波数ながらも超低レイテンシな高性能メモリーが提供されています。

Corsair CMD16GX4M2B2400C10

www.ark-pc.co.jp
CorsairのDominator Platinumシリーズのメモリーで、H270プラットフォームで利用できるメモリーとしては、自分の知っている限り最速の製品です。

低周波数・超低レイテンシメモリーの探し方

こういったメモリーは、マザーボードのQVLから探すと見つけやすいです。
基本的にDDR4 2133/2400の動作電圧は1.20Vですが、こういったメモリーでは1.35Vになっています。

終わりに

自分の持っている限りの知識を纏めましたが、いかがでしたでしょうか。
分かりやすさを意識して書きましたが、分かりにくい表現等あれば気軽にコメントして下さい。
記事に関係のないコメントもお待ちしています。