「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)
- 作者: 谷岡一郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/06/01
- メディア: 新書
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統計データを作る・解釈する難しさ
この本では全編に渡って「ダメな社会調査」が実例とともに示されます。
統計データというのは便利なもので、それを使うことで様々なものを客観的に評価することができます。
一方、データを作る・解釈するという過程では、様々なバイアスを排除して実態を明らかにすることが求められます。
この作業の難易度は非常に高く、「素人が思いつきで作ったようなデータ」には全くと言っていいほど価値がありません。
この事自体はデータを作る側として実感がありましたし、実際におかしなデータと解釈に触れる機会もままありましたが、読んでいて「まさかここまでとは」という気分でした。
というかこの本、発売日が20年近く前なんですよね……。
データは真実だが実態ではない
データそのものは真実です。
しかし、それが検証したかった内容を検証できているかや、それに対する解釈が実態を捉えているかは別の問題です。
自分が作る側に回る時は、その辺りをちゃんと意識してデータを作ったり、解釈していこうと思います。
文中で触れられていた通り、「生産されたゴミは使い回され、新たなゴミを生む」んですよね。
データを作る人間は、自分の行った全てが未来永劫他人に迷惑をかけ続ける可能性を意識して行動する必要があるということを意識しなければならないと、改めて感じました*1。
どんな立場でも、データに関わる人間は一度読んでおくべき本だったと思います。
*1:最近では、そもそもデータを参照しないまま施策を決めたり、恣意的な改ざんが有ったりと、あらゆる面でデータ軽視の状況が見られますが……。