【読書感想】日本語の作文技術

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

 

 日本語の構造について学ぶことができた

内容は非常に論理的で、自分の書く文章が何故読みにくかったかを構造的に理解できたと思います。日本語の構造に関する研究や翻訳語、その他の言語に関する言及といった、文章の書き方以外の部分も楽しんで読むことができました。

特に知ることができて良かったと思える内容を以下に2点かいつまんで書き出します。

第三章 修飾の順序
  1. 節を先にし、句を後にする(修飾する側とされる側の距離を近づけ、曖昧さが出ないようにする)。
  2. 長い修飾語は前に、短い修飾語は後にする。
  3. 大状況から小状況へ、重大なものからそうでないものへつなげていく。
  4. 語の親和性による曖昧さを回避する。

この内特に重要なのが1と2で、この辺りが崩れると文章として非常に読みにくくなることを学びました。簡単な構造に当てはめて書くだけでとても読みやすくなるので、この点は意識したいです。

第六章 助詞の使い方

助詞全体が一文字の違いで文の意味の範囲を大きく左右するものですが、一文字であるだけにミスに気付きにくいこと、そもそも文章の論理的構造に気を使わずに書いてしまっていることが多かったと気付きました。

「笑っている文章」に気付かされた

『第八章 無神経な文章』の内容ですが、特に刺さったので、これだけ分けて大きく書きます。

笑っている文章というのは書いた人間が渾身のドヤ顔をこちらに向けているような文章なんだと感じました。無駄な修飾や、強い言葉で言い切る、上品に濁すといった演出など、つまり自身のことを表現するための情報が文章のいたる所に入り込んでいて、客観的には読みにくいことこの上ありません。紋切り型についても触れられていましたが、そういった言い回しを好むことも、結局は自身の教養の演出に過ぎないのではないかと思います。また、本文中で触れられていたことですが、そういった言い回しは読みにくいだけでなく、ウソを書いてしまうことにも繋がります。

ただ一方で、最近ではこのような文章が多く流れるようになったとも感じます。特にアフィリエイトブロガーや政治家といった自分を売る商売では、そういった味の強い書き方の方が売上に繋がるのでしょう。良し悪しを論じるつもりはありませんが、目立つ文章を書く人間にとって誠実さが必要なくなったように見えるのは残念だと感じます。

まとめ

30年以上売れるだけあって、非常に良い本でした。

内容について色々書きましたが、読んだ内容が身についているとは言えないので、これからブログを書く上で身につけていこうと思います。