こちらの本を読んだので、感想を書きます。
医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)
- 作者: 本田真美
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/06/15
- メディア: 新書
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人の個性と認知特性
頭のよさと言うと、どうしても学力のような一意で絶対的なものという印象がありますが、この本では、「認知特性が得手不得手を決定する」という立場から、人間の能力と認知特性に関する話が紹介されます。
冒頭には35問からなる認知特性診断テストがあり、自分の認知特性を6つのタイプに分けて診断することができます。6つの認知特性の大まかな説明は以下の通り。
- <視覚優位者>カメラアイタイプ:写真のように2次元で思考するタイプ
- <視覚優位者>三次元映像タイプ:時間や空間軸を使って3次元で思考するタイプ
- <言語優位者>言語映像タイプ:文字や文章を映像化してから思考するタイプ
- <言語優位者>言語抽象タイプ:文字や文章を図式化してから思考するタイプ
- <聴覚優位者>聴覚言語タイプ:文字や文章を耳から入れる音として情報処理するタイプ
- <聴覚優位者>聴覚&音タイプ:音色や音階といった、音楽的イメージを脳に入力するタイプ
また、認知特性と合わせて紹介されるワーキングメモリの話も、興味深く読むことができました。
自分を知ることの重要性
自分はストレングス・ファインダー(旧版の方)を読んだことがありますが、そこで痛感したのは、どう努力をしようにも、まず自分が自分を知らないということです。 努力してもできない事や得意でないことよりは、自分の得意を重視した方が自信につながるというのは、自分にとってとても重要な気付きでした。
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自分を知るという視点で見ると、この本は「自分がどのように物事を見ているか」という傾向を教えてくれるよい本だったと感じます。 実際に診断をやった上で読み進めていくと、自分ができること、できないことに関して、『あーこれはそういうことだったのか』という納得を得ることができました。
因みに自分の認知特性は以下のようになりました。
- <視覚優位者>カメラアイタイプ:25
- <視覚優位者>三次元映像タイプ:18
- <言語優位者>言語映像タイプ:29
- <言語優位者>言語抽象タイプ:13
- <聴覚優位者>聴覚言語タイプ:20
- <聴覚優位者>聴覚&音タイプ:15
この診断によると、自分は文字や文章を映像化してから思考すること、写真のように2次元で思考すること、文字や文章を耳から入れる音として情報処理することが、大まかに得意なようです。
26以上の特性は特に優れているということで、自分は文字や文章を映像化してから思考するようにする機会の多いことに向いているということでしょう。
一方、14以下の認知特性は弱いということで、文字や文章を図式化してから思考することは苦手なようですが、全体のバランスとしては悪くないのかな、と感じました。
本の中ではそれぞれのタイプに関してより詳細な説明が出てきます。
他人を知ること
この本を読んだのが丁度帰省していた頃だったので、両親にお願いしてこちらの診断をやってもらいました。その結果は以下のようになりました。
父
- <視覚優位者>カメラアイタイプ:24
- <視覚優位者>三次元映像タイプ:16
- <言語優位者>言語映像タイプ:17
- <言語優位者>言語抽象タイプ:33
- <聴覚優位者>聴覚言語タイプ:13
- <聴覚優位者>聴覚&音タイプ:7
母
- <視覚優位者>カメラアイタイプ:38
- <視覚優位者>三次元映像タイプ:31
- <言語優位者>言語映像タイプ:17
- <言語優位者>言語抽象タイプ:19
- <聴覚優位者>聴覚言語タイプ:7
- <聴覚優位者>聴覚&音タイプ:10
面白かったのは、行動の説明が結構ついたことです。
結果の通り、両親ともに聴覚系の認知が弱く、実際言葉だけでやり取りしてすれ違う様子は見ていましたが、これが分かりやすい形で示されたことには驚きました。 この気付きは、『これからは文字に書いてやり取りするようにしたら?』という提案にも繋がりました。
父はその場で言葉だけで多くの情報を説明しようとしてこちらを混乱させることが多々ありましたが、これも「父の中だけでは全ての情報が図式として整理されている」ことが原因だったようです。
両親に限らず、他人の強い認知に対してよりよく響くような形に情報を加工して渡すのがいいのかな、と思えた点では、より大人数でやると面白い診断だと思えました。
少し残念な点
ここまでは褒める内容を書いてきましたが、ここからは少し残念だったと感じている点です。
特に診断に関してのことですが、設問が少なく、設問の内容も一瞬首を傾げるようなものが多くありました。 診断結果の偏差が結構大きくなってしまっているように感じます。
比較対象が値段も厚さも段違いなストレングス・ファインダーなので、お手軽さが取り柄となっているこの本に求めるものではないのかもしれませんが、個人的にはもっと正確に診断して欲しいと感じました。
後は細かい点ですが、診断の集計がとても面倒でした。 ネット上で受けられるようにしておけばいいのにと強く思います。
最後に
残念な点は書きましたが、全体で見ると、とても良い本だったと思います。 前述の通り、自分は自分や他人を知ることは、自分の行動を考えたり、コミュニケーションを取る上で非常によいことだと思っています。 この視点で見ると、とてもお勧めできる本でした。